REPLACE試験:

PDE5阻害薬効果不十分例における
アデムパス®の有用性(直接比較試験)

REPLACE試験の概要(国際共同試験)

(Riociguat rEplacing PDE5i therapy evaLuated Against Continued PDE5i thErapy)
Hoeper MM, et al. Lancet Respir Med 2021; published online March 24.(COI:本試験はバイエル社の資金により実施された、著者にバイエル社員(4名)を含む、著者にバイエル社より講演料等を受領 している者を含む)

REPLACE試験は、PDE 5阻害薬で効果不十分であったPAH 症例を対象に、アデムパス®切り替え後の有効性及び安全性を検討した臨床試験です。

目的
ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5阻害薬)で効果不十分な肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者を対象にPDE5阻害薬からリオシグアトに切り替えた場合の有効性及び安全性を検討

試験デザイン
国際共同、無作為化、非盲検、並行群間、第IV相臨床試験

対象患者
PDE5阻害薬で効果不十分なPAH 患者 226例

試験方法
PDE5阻害薬を6週間以上継続投与しても、WHO機能分類がIII度及び6分間歩行距離が165~440mの効果不十分なPAH患者を対象に、PDE5阻害薬の継続、またはPDE5阻害薬からリオシグアトへの切り替えのいずれかの群に1:1の割合で無作為に割付けた。
リオシグアト切り替え群ではPDE5阻害薬の中止後24あるいは48時間後のWashout期間を経て用量調節期(8週間)としてリオシグアト1.0mgを1日3回投与より開始し、患者の忍容性に合わせて2週間ごとに1回0.5mgずつ、最高1回2.5mg 1日3回まで増量し、維持用量を決定した。PDE5阻害薬継続群では前治療から薬剤の種類及び用量を変更することなく、シルデナフィル(1日用量60mg以上)あるいはタダラフィル(1日用量20~40mg)を継続投与した。それぞれ投与開始から24週間投与し、主要・副次評価項目の分析を行った。

主な評価項目

主要評価項目: 第24週における複合エンドポイントに基づく十分な臨床的改善が示された患者の割合
副次評価項目: ベースラインから第24週までの6分間歩行距離、NT-proBNP、WHO機能分類の変化、臨床的悪化までの期間
部分集団解析: 主要評価項目に対し、事前規定した部分集団解析を実施(年齢、性別、PA H分類、ベースライン時の 6分間歩行距離、PDE5阻害薬及びERAによる前治療の内容)
安全性評価項目: 有害事象、死亡率など

 

解析計画

主要評価項目: リオシグアト群とPDE5阻害薬群の比較はPAH 臨床分類を層とした層別Mantel-Haenszel検定を用いた(両側有意水準5%)。
副次評価項目: 6分間歩行距離、NT-proBNP、WHO機能分類の変化についてはPAH臨床分類を層とした層別Wilcoxon検定を用いて群間を比較した。臨床的悪化までの時間はKaplan-Meier法を用いて推定した。
欠測値の補完: 第24週の欠測値はLOCFで補完した。ただし、試験期間中の死亡例の6分間歩行距離及びWHO機能分類は最悪値(0m及びV度)で補完した。
解析対象集団: FAS:試験薬が1回以上投与され、主要評価項目の構成要素についてベースライン時及び24週時に値がある患者。有効性解析対象集団
SAF:試験薬が1回以上投与された全ての患者。安全性解析対象集団

REPLACE試験 試験デザイン

REPLACE試験 試験デザイン
※1  エンドセリン受容体拮抗薬は継続可能
※2 リオシグアトは1回1.0mg 1日3回経口投与から開始。 2週間継続して収縮期血圧が95mmHg以上で低血圧症状を示さない場合は2週間間隔で1回用量を0.5mgずつ増量するが、最高用量は1回2.5mg 1日3回までとする。収縮期血圧が95mmHg未満でも低血圧症状を示さない場合は現行の用量を維持するが、低血圧症状を示す場合は1回用量を0.5mgずつ減量する。
※3 シルデナフィルの国内承認用法・用量は成人では1回20mgを1日3回投与である。
※4 PAHによる入院または静注/皮下注プロスタサイクリン製剤の開始
※5 6分間歩行距離がベースラインから15%以上減少かつ、WHO機能分類の悪化、新たな肺血管拡張薬の開始、非代償性右心不全のいずれかを認める場合

患者内訳

REPLACE試験 - 患者内訳


24週間の治療期間と30日間の安全性追跡期を含む。
*:1例は主要評価項目のベースライン時評価に欠測あり
(SAF解析 114例、FAS解析 113例)

Hoeper MM, et al. Lancet Respir Med 2021; published online March 24.
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.

患者背景

REPLACE試験 - 患者背景


特に表示のない項目はn(%)を示す。 *:n=108 FAS解析
CTD:結合組織病、PoPH:門脈肺高血圧症、CHD:先天性心疾患、ERA:エンドセリン受容体拮抗薬

Hoeper MM, et al. Lancet Respir Med 2021; published online March 24.

有効性

24週後に複合エンドポイントに基づく
十分な臨床的改善を示した患者の割合において、
アデムパス®群はPDE5阻害薬群と比較して有意な改善が示されました。(主要評価項目)

REPLACE試験 - 有効性
Hoeper MM, et al. Lancet Respir Med 2021; published online March 24.
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.

24週の試験期間中、臨床的悪化が認められた症例は
アデムパス®群1例( 1%)、 PDE5阻害薬群10例( 9%)でした。

第24週における臨床的悪化の初回イベント発現例


*1:第11週にトレプロスチニル皮下注射を開始
*2:その後死亡
*3:うち2例はその後死亡、1例はその後疾患の進行を認めた
**:層別Mantel-Haenszel検定
FAS解析

Hoeper MM, et al. Lancet Respir Med 2021; published online March 24. より作表

アデムパス®群の24週後の変化において、6分間歩行距離は36mの延長、NT-proBNPは88pg/mLの低下を示しました。
さらにWHO機能分類は有意な改善を示し、臨床的悪化のリスクが有意に減少しました。(副次評価項目)

6分間歩行距離の変化


24週時の治療効果の平均差(95%CI):
23m(5 ~40); p=0.054
* 層別Wilcoxon検定( vs. PDE5阻害薬)

NT-proBNP値の変化


ベースラインから第24週までの変化量(平均±SD):
リオシグアト -88±534pg/mL、PDE5阻害薬 +81±1268pg/mL変化量の群間差(95%CI):- 170pg/mL(-426~87); p=0.11#
# 層別Wilcoxon検定( vs.PDE5阻害薬)
ボックスの両端は第一四分位と第三四分位、ボックス内の は平均値、ラインは中央値を示す。
ひげは範囲(1.5×IQR以内)を示す。
*はひげを超える外れ値を示す。

24週後のWHO機能分類の患者割合
臨床的悪化までの期間(Kaplan-Meier)
Hoeper MM, et al. Lancet Respir Med 2021; published online March 24.
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.

安全性

有害事象発現率はアデムパス®群で71%、PDE5阻害薬群で66%でした。

安全性


*:症候性低血圧及び無症候性低血圧を含む。
‡:安全性追跡期間中に追加の死亡例1例あり。

死亡に至った有害事象はPDE5阻害薬群で脱水、肺高血圧症の悪化、肺動脈性肺高血圧症の悪化が各1例で認められた。
中止に至った有害事象はリオシグアト群では労作時呼吸困難が2例、右室不全、上腹部痛、下痢、倦怠感、めまい、頭痛、呼吸困難、低血圧が各1例で認められた。PDE5阻害薬群では新たな肺血管拡張薬の開始に伴う有害事象が1例で認められた。

SAF解析

Hoeper MM, et al. Lancet Respir Med 2021; published online March 24.
Reprinted from The Lancet Respir Med, S2213-2600(20)30532-4, Hoeper MM, et al., Switching to riociguat versus maintenance therapy with phosphodiesterase-5 inhibitors in patients with pulmonary arterial hypertension (REPLACE): a multicentre, open-label, randomised controlled trial, Copyright © 2021 with permission from Elsevier.

まとめ

  • PDE5阻害薬効果不十分例を対象とした、無作為化比較試験REPLACE試験において、PDE5阻害薬からアデムパス®への切り替えによる有効性と安全性が示されました。
  • 複合エンドポイントに基づく十分な臨床的改善の患者の割合において、アデムパス®群ではPDE5阻害薬群と比較して有意な改善が示されました。
  • アデムパス®切り替え群ではPDE5阻害薬継続群と比べ、臨床的悪化のリスクが有意に減少しました。
  • PDE5阻害薬からアデムパス®への切り替えによる安全性と忍容性が示されました。

作用機序からみるアデムパス®の特徴

PDE5阻害薬と同じNO-sGC-cGMP経路に作用するアデムパス®は、NOの有無によらずcGMPの産生を促進することから、NOが低下する病態においても血管拡張作用が期待できます。

作用機序からみるアデムパス®の特徴


Stasch J-P et al. Circulation 2011;123:2263–73. Schermuly R et al. Expert Opin Invest Drugs 2011;20:567–76. O’Callaghan DS et al. Nat Rev Cardiol 2011;8:526–38.
Ghofrani HA et al. Future Cardiol 2010;6:155–66. Evgenov OV et al. Nature Rev Drug Disc 2006;5:755–68.より改変

  • アデムパス®はNOの有無によらずcGMPの産生を促進することにより肺血管拡張作用を示します。
  • アデムパス®はPDE5阻害薬効果不十分例に対し、有意な臨床的改善を示しました。(REPLACE試験)